決算を読めるようになっても、口座がないと動けない

決算短信の見方を覚えると、次に来るのはこの壁です。

「で、実際に買うにはどうすればいいのか」

株は銀行では買えません。証券会社に口座を開くところから始まります。ところが調べ始めると、比較サイトごとに違うおすすめが並んでいて、また手が止まります。

私も同じところで迷いました。この記事では、証券会社を比べるときに見るべき3つの観点を整理します。

なお、当サイトは特定の会社や銘柄をすすめる場所ではありません。選ぶ物差しをお伝えするだけで、決めるのはご自身です。

そもそも証券口座とは何か

銀行口座がお金を預ける場所なら、証券口座は株や投資信託を保管して売買するための場所です。

開設にかかるお金

多くのネット証券では、口座を開くこと自体は無料です。維持のための費用もかからないのが一般的になっています。

つまり、開いておくだけならお金は減りません。ここは意外と知られていない部分だと感じます。

開設に必要なもの

本人確認書類とマイナンバーが分かるものが要ります。運転免許証とマイナンバーカードがあれば、たいていは足ります。

スマホで写真を撮って送る形式なら、郵送を待たずに手続きが進みます。数日で使えるようになる会社が多くなっています。

観点1:手数料をどう見るか

いちばん語られるのが手数料です。ただ、比べ方には注意が要ります。

「安いかどうか」より「自分の取引で安いか」

手数料の仕組みは会社ごとに違います。1回ごとにかかる形と、1日の合計額で決まる形があり、どちらが得かは取引の回数と金額で逆転します

数か月に一度だけ買う人と、毎日売買する人では、有利な料金体系が変わります。ランキングの順位ではなく、自分の使い方に当てはめてください。

見落としやすい費用

売買のときの手数料だけが費用ではありません。

  • 投資信託を持っている間にかかる費用
  • 外国株を買うときの為替の手数料
  • 出金するときの手数料

経理の感覚で言えば、継続的に発生する費用のほうが効いてきます。一度きりの手数料より、毎年かかるもののほうが、長い目では大きくなるからです。

観点2:何が買えるか

次に見るのは取扱商品です。ここは会社によってはっきり差が出ます。

日本株だけで十分か

このサイトで扱っている決算短信の読み方は、日本の会社が対象です。日本株が買えれば、まずは足ります。

ただ、後から米国株や投資信託に興味が出ることは十分にあります。そのときに口座を開き直すのは手間なので、選択肢の広さは見ておいて損がありません。

NISAを使うかどうか

税制の優遇を受けられる仕組みがあります。使うつもりがあるなら、その会社がどう対応しているかを確認してください。

注意点として、この制度の口座は1人1つです。金融機関の変更はできますが、手続きに時間がかかります。最初に選ぶ会社が長い付き合いになりやすいということです。

単元未満株が買えるか

日本株は通常100株単位で売買します。有名な会社だと、それだけで数十万円になることも珍しくありません。

1株から買える仕組みを用意している会社もあります。少額から始めたいなら、ここは重要な分かれ道になります。

観点3:使いやすさと情報の質

見落とされがちですが、実は毎日触る部分です。

アプリの見やすさ

株価を確認する、注文を出す、保有している銘柄を眺める。この動作を何度も繰り返すことになります。

操作に迷うアプリだと、それだけで確認そのものが億劫になります。続けやすさに直結する部分です。

決算情報が見られるか

当サイトの立場からは、ここを強調しておきたいところです。

証券口座があると、気になる会社の決算資料や業績の推移を、その画面で追えるようになります。ニュースサイトを探し回らずに済むのは大きな利点です。

数字の読み方は決算短信で最初に押さえる5つの数字にまとめました。口座の画面と合わせて使うと、理解が早く進みます。

注文の種類

「いくらになったら買う」という予約のような注文ができるかどうかも、会社によって幅があります。仕事中に相場を見られない方には効いてきます。

数字の見方が分かってくると、次は自分の目で確かめたくなります。証券口座があれば、気になる会社の株価も決算も、いつでも追えるようになります。
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開設画面で必ず聞かれる「口座の種類」

ここは初心者が最初につまずく場所です。申し込みの途中で、こんな選択肢が出てきます。

  • 特定口座(源泉徴収あり)
  • 特定口座(源泉徴収なし)
  • 一般口座

用語だけ見ても意味が分かりません。経理の言葉に置き換えて説明します。

何が違うのか

株で利益が出ると、税金がかかります。問題はその計算と納付を誰がやるかです。3つの違いは、そこだけだと考えてください。

特定口座(源泉徴収あり) は、証券会社が損益を計算し、税金を差し引いたうえで入金してくれます。原則として確定申告が要りません。

特定口座(源泉徴収なし) は、証券会社が1年分の取引をまとめた書類を作ってくれます。ただし申告は自分で行います。

一般口座 は、計算も申告もすべて自分です。

迷ったらどうするか

手間を減らしたいなら、源泉徴収ありを選ぶ人が多い形です。放っておいても納税が済むためです。

ただし、状況によっては申告したほうが有利になる場合もあります。損失を翌年以降に持ち越したい場合などがそれにあたります。

ここは個々の事情で変わります。 判断に迷うなら、国税庁の案内や利用する証券会社の説明を確認してください。私も経理の仕事をしていますが、自分の税金の話は必ず一次情報で裏を取ります。

後から変更できるのか

多くの会社では、年の途中でも条件付きで変更できます。ただし、その年にすでに取引をしていると制限がかかる場合があります。

最初に決めておくほうが素直です。 ここで長考して開設自体をやめてしまうのが、いちばんもったいない結末です。

複数の口座を持ってもいいのか

結論から言えば、持てます。1人1社という決まりはありません。

ただし、増やすほど管理は面倒になります。どこに何を置いているか分からなくなると、確定申告のときに苦労します。

私の考えは、まず1つ開いて使ってみるです。使ってみて不満が出たら、そのとき2つ目を考えれば足ります。最初から比較を極めようとすると、いつまでも始まりません。

口座を開いたあと、最初にやること

開設が済んだら、すぐ買う必要はありません。私がすすめたいのは次の順番です。

  1. 気になる会社を検索して、画面の見え方に慣れる
  2. その会社の決算と業績の推移を眺める
  3. 数字の意味を確かめる
  4. それから、買うかどうかを考える

口座は買うための道具であると同時に、調べるための道具でもあります。持っているだけで、企業の数字へのアクセスがぐっと楽になります。

たとえば株式会社エービーシー・マートの記事で扱った数字を、実際の画面で追いかけてみてください。記事と実物が結びつくと、理解の定着がまるで違います。

選ぶときの注意点3つ

最後に、私が気をつけている点を挙げます。

ランキングをそのまま信じない。 順位は評価する側の基準で決まります。自分の使い方と一致しているとは限りません。

キャンペーンだけで決めない。 開設時の特典は一度きりですが、手数料や使い勝手は長く付き合うことになります。

分からないまま契約しない。 仕組みが理解できない商品は、後から困ります。理解できる範囲から始めるほうが、結果的に遠くまで行けます。

まとめ

証券会社を比べるときの3つの観点を整理します。

  • 手数料:ランキングではなく、自分の取引回数と金額で判断する。継続的にかかる費用ほど効いてくる
  • 取扱商品:日本株で足りるか、将来の選択肢を残すか。税制優遇の口座は1人1つ。少額で始めたいなら1株から買えるかを確認
  • 使いやすさ:毎日触る部分。決算情報が追えるかどうかは、数字を読む習慣に直結する

そして、最初から完璧に選ぼうとしないこと。1つ開いて使ってみる。それがいちばん早い道でした。

繰り返しになりますが、当サイトが扱うのは会社の読み解き方です。何をいつ買うかの判断は、あなた自身の手で行ってください。